印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。

2023年6月13日火曜日

この時計知ってる? . . . 篠山紀信 "YURI(立川ユリ), Collector's Collection"

文字盤にポップな写真がプリントされたオシャレな置き時計。大きさは高さ 30cm x 幅 20cm x 奥行き 10cm と少々ボリューム感はありますが、ケースが透明なアクリルなので圧迫感はありません。



文字盤の写真は、日本を代表する写真家 篠山紀信氏の作品「 YURI (1968年)」です。モデルは立川ユリ氏で、この作品は篠山氏の写真集「篠山紀信と28人のおんなたち」(毎日新聞社, 1968年)に掲載されていたり、東京都写真美術館で開催された篠山氏の回顧展「新・晴れた日」(2021年)に展示されたりしたので、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。

さてこの文字盤、白いプラスチックの板にカラー写真を「オレンジ(メガネ)」「ピンク(唇)」「黒(その他部分)」の3色に単純化して、(おそらく)シルクスクリーンでプリントしています。インクの発色が良いこともあってとてもポップで、今の時代でも十分魅力的です。

時計がモデルさんの口の部分についているというのも面白いです。時間を見るたびにモデルさんの口元を見ることになり、ドキドキしてしまいますから。そういえば、昭和のころには俳優さんやスポーツ選手の写真が文字盤にプリントされた置き時計や掛け時計がありましたが、時計は基本的に人物イメージの外側に配置されていました。


ちなみに、もとの写真で立川氏が咥えているのはブローバ社のアキュトロン(Accutron)という腕時計。1960年に年に発表された世界初の音叉式電子時計で、非常に高い精度を誇りました。

一方、この置き時計に実際に使われているのは電池式のクォーツ時計。これは東京時計という会社のシリコンクロックという製品で、「日本時計学会誌 44巻」(1967年12月発行)に紹介されている当時最新の技術が使われた Made in Japan のモデルです。


この時計が入っていた箱には「Collector's Collection」というロゴがプリントされています。しかし、Collector's Collection について筆者がネットで調べた限りでは、詳細は分かりませんでした・・・


この置き時計がいつごろ発売されたものなのか、他にどんな置き時計が作られたのか、置き時計以外にどんなアイテムがあるのか。知りたいことはどんどん出てきます。「Collector's Collection」についてご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えていただければと思います。

世の中、たくさんのステキなプリントがあって楽しいです。いやぁ、プリントって本当にいいものですね!