印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。

2011年4月27日水曜日

デジタル印刷 理想と現実のギャップ:利益編

4月26日のブログで、印刷会社においてデジタル印刷機の導入意欲が非常に低いことを指摘した。その理由のひとつとして、4月24日のブログで明らかにしたように、『デジタル印刷ならではの付加価値を活かすジョブが取れていないこと』が挙げらよう。また別の理由として、デジタル印刷で思うように利益を挙げられていないことも挙げられる。

ここ数年間で、ライトプロダクションと呼ばれる低価格で高速なカラーデジタル印刷機が普及したが、日印産連アンケート結果によれば、これらを含めたカラーデジタル印刷機(生産機、トナー、カット紙、A3モデル)を使っている印刷会社のうち利益を出しているのは3分の1である。ちなみに、モノクロ機(トナー、カット紙、A3モデル)におけるその比率は46%となっている。





以前、「デジタル印刷は、大ロットのオフセット機のジョブを取るための細かい仕事を行うための機械なので、利益は出なくても良い」というご意見をお伺いしたことがある。現在、オフセットのジョブでは小ロット化・低価格化が進んでおり、オフセットのジョブで十分な利益を出すのは簡単ではない。こうした状況では、デジタル機のジョブでも利益を出す事が求められるが、実際にはカラー機では3分の2、モノクロ機では5割強が利益を出せていない。

このような現実に直面している印刷会社において、デジタル印刷機の導入意欲が低いのは当然のことである。デジタル印刷機メーカー、そして印刷機材商社には、日本市場に適したデジタル印刷による売上・利益を同時に拡大する方法を、印刷会社とともに開発し、共有することが求められる。