印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。

2023年8月29日火曜日

ミシンで縫ってあるDM!. . . Yohji Yamamoto A/W 2005-2006

筆者は昔からDMが好きで、特に変わったもの・凝ったものが届くと嬉しくなって大切に取っておきました。今回ご紹介するファッションブランド ヨウジ ヤマモト(Yohji Yamamoto)の2005年-2006年秋冬コレクションのDMもそのひとつ。


最大の特徴は『ミシンで縫ってある』こと。封筒を開けて中からこのDMを取り出したときの驚きは、今でも忘れられません。

このDMは、厚さ約1mmのボール紙を白い薄手の用紙で挟んで、それらを黒い糸で縫いつけてあります。表紙(白い紙)には、「Yohji Yamamoto Autumn-Winter 2005 | 2006」と小さなピンクの文字で印刷。白い紙の内側には、洋服の一部をアップにした写真がカラーで全面に印刷されています。


ボール紙部分(表面)には、そのコレクションの服を着たモデルさんの写真がモノクロで印刷され、さらにブランドロゴが銀で箔押しされています。ボール紙部分の裏面は、特に印刷・加工がなく、グレーのままです。カッコいいです。


「ミシンで縫う」という加工は、ノートの中綴じに使われていたりして、それほど珍しい加工方法ではありません。ただ、DMで使われることはあまりないと思います。とはいえ、ファッションブランドのように「糸」とか「縫う」ことと相性が良い会社のDMに使われると、奇を衒ったものではなく、自然なものとして受け取ることができます。


ちなみに封筒の中には、このDMとは別に、店員さんの手書きメッセージ入りカードも入っていました。そのカードには、コレクションの販売がスタートされる日、今回のコレクションの特徴・魅力、オススメの商品などがビッシリと書かれています。こうやってポイントを書き並べると業務的な内容のメッセージですが、それらが手書きされていると、なんとなく嬉しくなってお店に行きたくなります。

印象的でありながら、同時にそのブランドらしさも伝わるデザインのDM。さらに、担当店員さんとの関係も深めることができる。そういえば、封筒には薄いクリーム色の風合いの良い用紙が使われていて、そこにもブランドロゴが銀で箔押しされています。封筒からも、このブランドの世界観が伝わってきます。今の時代なら、そんな『紙のDM』に「デジタルならではの双方向性」も掛け合わせることができるでしょう。

ぜひ、『紙のDM』と『デジタル』を掛け合わせて、さらにステキな顧客体験を提供しましょう。いやぁ、プリントって本当にいいものですね!

2023年8月22日火曜日

企画力・デザイン力で『紙化』を促進!

パッケージなど様々な分野で、脱プラスチック&『紙化』が広まっています。こうしたトレンドをさらに促進するため、単なる「プラから紙への置き換え」ではない、企画力やデザイン力を活用した進化を伴う『紙化』の取り組みも進んでいます。

医薬品・化粧品パッケージなどの設計・デザイン、印刷、加工を行う富山スガキ(富山県富山市)は、医薬品・化粧品製造展「第25回インターフェックスジャパン」(会期:2023年7月6日〜8日の3日間、会場:東京ビッグサイト)において、企画力・デザイン力を武器に開発した人にも環境にもやさしいパッケージを提案しました。


例えば、これまであまり使われていない(印刷されていない)裏面/内側面を活用した紙箱。内側に購入者だけが楽しめる占いやくじ、切り取ってカードやペーパークラフトとして遊べるオマケなどを印刷することで、その商品を購入する楽しみが増えます。

しかも、設計・デザインを工夫して『糊を使わない』紙箱にすれば、開きやすくて人にやさしいものになります。また富山スガキは「POLYGONS」など、意匠が凝っていて店頭での訴求力の高いものもあわせて展示していました。


医薬品のパッケージも得意とする同社ブースには、箱の一部が添付文書になっている「添付文書一体型パッケージ」も紹介されていました。このパッケージでは、添付文書が中身よりも先に引き出されるデザインになっているため、確実に手に取っていただけるようになっています。また、箱と一緒にフルカラー印刷できるため、文書をより分かりやすくできます。


両面をカラー印刷したり糊を使わない箱を開発したりすることで、多少製造コストは上がるかも知れません。しかし、オマケや添付文書などを別途印刷して封入するコストが削減できます。さらに「店頭での訴求力」や「購入後の楽しみ」などを加えることで、人にも環境にもやさしい、しかも楽しい『紙化』を実現できます。

ブランドオーナーの皆さんそして印刷業界の皆さん、ぜひ企画力・デザイン力を活用して、単なるプラスチックの置き換えではない、進化を伴う『紙化』をどんどん促進しましょう!

2023年8月15日火曜日

ミック x アンディ x バックステージパス! . . . ミック・ジャガー ソロツアー(1988年)

ロックバンド ローリング・ストーンズのボーカル ミック・ジャガーは、セカンドアルバム「プリミティブ・クール」(1987年発売)を引っさげ、初めてのソロツアーを行いました(1988年)。ツアーでは日本(東京ドーム, 大阪城ホール)とオーストラリアなどを回りましたが、日本公演はストーンズも含めて初めてでした。

このバックステージパスは、このツアーの技術スタッフ用のものです。バックステージパスは、布製で服などに貼れるものが多いのですが、こちらは印刷物をラミネート加工したタイプで、紐をつけて首から下げて使用します。このタイプのパスは数も少なくてレア(笑)です。


キラキラした緑色の用紙が使われているのは、このキラキラ感がミックに似合うからという理由もあるかも知れませんが(笑)、複製防止という理由もあります。裏側には番号が印刷されていて、この番号で所有者も管理されています。ミック・ジャガーというビッグネームのツアーのため、デザイン面でもセキュリティがしっかり考慮されています。



パスにプリントされているのは、ポップアートの大スター アンディ・ウォーホルが、ミックを題材に1975年に製作した10枚組版画作品の中の1枚。ちなみに、作品の元になった写真もウォーホルが撮影しています。ただ、残念ながらウォーホルは1987年に亡くなっているので、このツアー(そして、このツアーパス)は見ていません

余談ですが、ストーンズが1971年に発表したアルバム「スティッキー・フィンガーズ (Sticky Fingers)」や1977年発表のライブアルバム「ラヴ・ユー・ライヴ (Love You Live)」のジャケットなどもウォーホルが製作しています。1970年代は、ストーンズとウォーホルの蜜月期だったんですね。

このツアーバックステージパスは他にも、「VIP」とか「All Access」などの種類があります。また、日本ツアー用に「技術スタッフ」「全域通行可」など日本語で書かれたものもあります。しかも、使われている色やイメージが異なります。とても凝ってます。これらも別の機会にご紹介できればと思います。

新型コロナ感染症も5類感染症に移行されたことから、イベントの数もどんどん増えています。デザインを工夫することで、この「ミック x アンディ」のような、「会場で積極的に見せたくなる」・(イベント終了後に)「とっておきたくなる」「友人や同僚に自慢したくなる」イベント用パスをつくるのはいかがでしょう?そのパスは、イベントや主催企業のブランディングの強力な武器になるでしょう。

いやぁ、プリントって本当にいいものですね!

#MickJagger
#AndyWarhol
#Warhol
#ミックジャガー
#アンディウォーホル
#ウォーホル
#プリントマニア

2023年8月8日火曜日

写真に『紅と筆』でサイン!? . . . 六代目中村歌右衛門/芝翫

六代目 中村歌右衛門は、20世紀を代表する歌舞伎役者の一人です。1941年(昭和16年)に中村芝翫、そして1951年(昭和26年 )に六代目 中村歌右衛門を襲名し、1968年(昭和43年)には重要無形文化財保持者(人間国宝)になりました。特に女方として有名で、交友のあった文豪 三島由紀夫の小説「女方」に登場する女方歌舞伎役者は、六代目 中村歌右衛門がモデルになっています。


筆者の手元に六代目 歌右衛門の9枚のサイン入り写真があるのですが、そのうち6枚には「芝翫」・3枚に「六代目 歌右衛門」のサインが入っています。筆でサインされている7枚(芝翫6枚・歌右衛門1枚)に注目すると、書かれた文字が赤いことに気がつきます。また、(写真では分かりにくくて申し訳ありませんが)その文字は盛り上がっています。



おそらく、芝翫/六代目 歌右衛門は、写真にサインするのにお化粧道具の「」と「筆」を使っていたようです。目元や口元を彩るのに使われた紅でサインするなんて、とっても艶っぽいです。筆で書かれた文字も、芯が通っていながらもふくよかで柔らかな印象で、色気を感じます。これらのサイン入り写真をいただいたファンは、とっても大事にしたことでしょう。

残りの2枚の写真(六代目 歌右衛門時代)は、細い緑色のペンでサインされています。抑揚をつけるのが難しいペンで書くのに慣れていなかったのか、(筆でのサインと比べて)硬く感じます。丁寧に書かれているのに残念です・・・




ところで、歌舞伎役者がサインを入れるようになったのは、いつ頃からだったのでしょう?江戸時代の浮世絵には役者をモチーフにした作品がたくさんありますが、不勉強なこともあって、存じ上げません。

また、サインにお化粧道具を使ったのはいつ頃始まり、そしていつ頃終わったのでしょう。万年筆でサインされた映画俳優の写真は目にすることが多いのですが、お化粧道具でサインされたものは寡聞にして存じません・・・

歌舞伎についての知識が全くありませんので、これらの写真がどの演目のどの役、そしていつ撮影されたものかも分かりません。かろうじて、緑色ペンでサインされたうちの1枚が、「連獅子」の「親獅子の精」だということくらいです(撮影年は分かりません・・・)。歌舞伎に詳しい方、ぜひお教えいただければと思います。

プリントは、情報を伝達するだけでなく、それにまつわるものにも触れそして深めるきっかけにもなります。いやぁ、プリントって本当にいいものですね!

2023年8月1日火曜日

新型コロナ『第9波』に乗ってみて分かったことなど

2023年7月24日週の1週間、新型コロナウイルスに感染して熱とノドの痛みと咳に悩まされながら寝て過ごしました。いわゆる「コロナ第9波」のビッグウェーブに、不本意ながら乗ってしまったようです。今回は、新型コロナに感染して分かったこと・驚いたことなどについて、自分用の備忘録的な意味も込めて、まとめておきたいと思います:


1)まだ『新型コロナ治療薬』はもらえず:

体調が悪いなと思ったのは7月23日(日、0日目)。早めに寝たのですが、頭痛はさらにひどくなり脈拍も早くなったので「これはコロナかインフルエンザかなぁ」と思い、翌日(7月24日)に近所の病院へ。検査していただいたところ、「新型コロナ陽性・インフルエンザ陰性」との結果が出ました(1日目)。

病院では、以下のお薬も一緒にいただきました。ノドの痛みを抑える&治療するお薬が多かったようです。残念ながら、新型コロナ治療薬は含まれず・・・コロナ治療薬をサクッと出していただくには、まだ時期が早すぎたようです:

  • 葛根湯エキス顆粒(医療用)
  • 小柴胡湯加桔梗石膏エキス顆粒(医療用):ノドの痛みを和らげる
  • トランサミン錠:ノドの炎症を抑える
  • ロキソニン錠:痛みや炎症を抑える&熱を下げる
  • SPトローチ:ノドの感染を予防・治療


2)高熱が続いて辛かった・・・

今回、新型コロナに感染して辛かったことのひとつに、以下のように高熱が続いたことがありました:

  • 0日目(23日)・1日目(24日)・2日目(25日):38度台
  • 3日目(26日):37度台後半
  • 4日目(27日):37度前後
  • 5日目(28日):36度台
  • 参考:平熱は35度台

インフルエンザなら、タミフルのような治療薬を飲めば熱は早めに下がります。しかし、今回いただいたお薬(葛根湯・ロキソニン)では熱がなかなか下がらなかったため、少々辛かったです・・・

ところで、今回の熱の出方は、「新型コロナワクチン」接種時に副反応で出た熱と同じように感じました。一気に高い熱が出て頭がすごく痛くなる、というか。この感覚もあって、「今回は新型コロナかも」と早い段階から予想できていたと思います。

発熱以外では、頭痛やノドの痛み、咳といった症状が中心でした。味覚や嗅覚にはあまり影響がなく、それはラッキーでした。そういえば、熱が高い時にはノドの痛みはあまり感じませんでしたが、熱が少し下がるとノドの痛みを猛烈に感じました。不思議です。


3)東京都の資料、マジ便利!ありがとう!!

今回、東京都が作成・配布した新型コロナに関する資料(A4 1枚)が本当に役に立ちましたまず、「発熱などの症状が出たら」面(表面)で、病院に行く前にすべきことが分かります。そして「コロナの陽性が判明したとき」面(裏面)で、コロナ療養中の注意事項や後遺症などについての情報が簡潔に分かりやすくまとめられています。

コロナでボーっとした頭でも理解できました。この資料のおかげで、治療に専念できたと思います。ありがとうございました!


4)市販の検査キットは参考程度で:

上記のように、(勝手にですけど)自分で「新型コロナかも」と思っていたこともあって、病院に行く前に(家族にドラッグストアで買ってきてもらった)検査キットで念入りに確認しました。

病院に行ったのは17時ごろでしたが、その前に3回(11時ごろ・14時ごろ・16時ごろ)検査キットを使いました。結果は、予想と違って3回とも「陰性」。そのため、「今回はインフルエンザかぁ、夏なのに珍しいなぁ」と思って病院に行ったら、「新型コロナ陽性・インフルエンザ陰性」との診断結果が。

私の使い方が悪かったのかもしれませんが、市販の検査キットの結果は参考程度にした方が良さそうです。

ちなみに、使った検査キットは以下の2種類:

* 検査スティックの先端部分をくわえて舌の上に置くタイプ(2回)
* 綿棒を使って口腔内から直接唾液を採取し、それをテストカセットに滴下するタイプ(1回)

思い返すと、これらの検査キットを使ったのは初めてで、検査のときに「うまく使えていないかも」という気がしていたような。やっぱり、私の使い方が悪かったのかもしれません・・・


まとめ:新型コロナとインフルエンザは『けっこう違った』

本日(8月1日, 9日目)時点で、おかげさまで体調はかなり落ち着きました。ただ、頭痛・倦怠感・しゃべると咳が出るといった症状はまだ少し残っています。しかしこれは、連日続く「危険な暑さ」も関係しているかもしれないので、なんとも言えません・・・

新型コロナが(季節性インフルエンザと同じ)5類に移行して以降、「新型コロナとインフルエンザは同じようなもの」というお話を耳にすることもたくさんありました。でも、今回かかってみて思ったのは、『けっこう違った』ということ。

新型コロナは『簡単に治療薬を出してもらえる』という状況にまだなっていないのが大きな差かと。今回、症状がちょっと重めだったこともあって、この差の大きさを痛感しました。

もちろん、この先コロナの治療薬がだんだん入手しやすくなっていくことと思います。しかしそれまでは、感染時の症状の軽重は予測できないこともありますので、できるだけ新型コロナには感染しないよう、まだまだ注意した方が良さそうです。