筆者は昔からDMが好きで、特に変わったもの・凝ったものが届くと嬉しくなって大切に取っておきました。今回ご紹介するファッションブランド ヨウジ ヤマモト(Yohji Yamamoto)の2005年-2006年秋冬コレクションのDMもそのひとつ。
最大の特徴は『ミシンで縫ってある』こと。封筒を開けて中からこのDMを取り出したときの驚きは、今でも忘れられません。
このDMは、厚さ約1mmのボール紙を白い薄手の用紙で挟んで、それらを黒い糸で縫いつけてあります。表紙(白い紙)には、「Yohji Yamamoto Autumn-Winter 2005 | 2006」と小さなピンクの文字で印刷。白い紙の内側には、洋服の一部をアップにした写真がカラーで全面に印刷されています。
ボール紙部分(表面)には、そのコレクションの服を着たモデルさんの写真がモノクロで印刷され、さらにブランドロゴが銀で箔押しされています。ボール紙部分の裏面は、特に印刷・加工がなく、グレーのままです。カッコいいです。
「ミシンで縫う」という加工は、ノートの中綴じに使われていたりして、それほど珍しい加工方法ではありません。ただ、DMで使われることはあまりないと思います。とはいえ、ファッションブランドのように「糸」とか「縫う」ことと相性が良い会社のDMに使われると、奇を衒ったものではなく、自然なものとして受け取ることができます。
ちなみに封筒の中には、このDMとは別に、店員さんの手書きメッセージ入りカードも入っていました。そのカードには、コレクションの販売がスタートされる日、今回のコレクションの特徴・魅力、オススメの商品などがビッシリと書かれています。こうやってポイントを書き並べると業務的な内容のメッセージですが、それらが手書きされていると、なんとなく嬉しくなってお店に行きたくなります。
印象的でありながら、同時にそのブランドらしさも伝わるデザインのDM。さらに、担当店員さんとの関係も深めることができる。そういえば、封筒には薄いクリーム色の風合いの良い用紙が使われていて、そこにもブランドロゴが銀で箔押しされています。封筒からも、このブランドの世界観が伝わってきます。今の時代なら、そんな『紙のDM』に「デジタルならではの双方向性」も掛け合わせることができるでしょう。
ぜひ、『紙のDM』と『デジタル』を掛け合わせて、さらにステキな顧客体験を提供しましょう。いやぁ、プリントって本当にいいものですね!